Y’s SQUARE

神奈川県藤沢市鵠沼にあるファミリー商店街でのPROJECTです。

クライアントが受け継がれた木造2階建ての建物を「テナントとして貸したいので見て欲しい。」とのご連絡を受け、取り急ぎクライアント、測量事務所の方と私3人で現況を調べに行ったのですが、中に入ってみると長年使われていなかったせいか、老朽化が激しくとても使えるような代物ではなく、使えるようにするにはかなりの費用を掛けないと行けない事がわかり、急遽建て替える事となりました。

ただし、この敷地のあるファミリー商店街には新しく建てる場合は1階部分を歩道より2m下げる事と言う決まりがあり、ただでさえ15坪と小さな敷地で、2mも下げてしまうと1階部分がほぼ無くなってしまう。その事を踏まえるとやはり既存の建物をリニューアルして使うしか方法が無い。何か釈然としないまま考えが堂々巡りを繰り返していましたが、商店街の決まりをもう一度良く読んでみると、敷地の面積に規定が無い事に気付き、逆に商店街側に敷地の面積に規定を設ける事の必要性を訴えました。

すると商店街側の方からも同調する意見が多く、結果「全ての敷地に前記の決まりをかけるのでは無く、ある一定規模以上の敷地にかかるものとする。」と変更になり、2m下げなくても良くなりました。

条件面はクリアになり、2階建て案、3階建て案をそれぞれ比較検討する中でやはり2階建ての案の方が有効に活用出来る事がわかり2階建てに決定しましたが、テナントとしては不利な要素になる2階部分を天井高の高いロフトのあるタイプとし、魅力のある空間を提供しています。

構造に関しては、イニシャルコストは高くなりますが、耐久性が高い事、海が近く潮風が吹く事を考慮し、鉄筋コンクリート造を選択、構造柱を扁平タイプとし通り沿いに最小限で設置。

また、私としては一番苦心したファサードのリボンの様な横方向の梁を扁平柱より前に出す事で通行される方の目線を敷地の端から端まで見通せるデザインとし、認知度UPを目指しました。

テナント賃料も廻りに比べると高く内心心配しておりましたが、足場のシートを外した段階でこの建物を気に入っていただいた方から出店のオファーがあり、クライアント共々凄く喜んだのを憶えています。